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平成28年度生産局長賞受賞事例

 

平成28年度生産局長賞受賞事例

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     また、生産者様への直接のお問い合わせは、ご遠慮ください。

     ご紹介するヒートポンプの数値は定格暖房能力です。

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【都道府県名】埼玉県

【作物名】コチョウラン

【表彰技術】ヒートポンプや統合環境制御システムの導入によるコチョウラン栽培の効率化

【概 要】
 ○立地…本庄市は埼玉県北西部の県境に位置し,北に利根川が流れている。市内中央部ではJR高崎線が,南部では関越自 
  動車道と上越新幹線が東西に横断し,交通の利便は比較的良い。
  当園は本庄市の東側,深谷市との市境近く,利根川の南方2km未満の沖積低地に位置し,広大な畑が広がり,風をさ 
  えぎる物がない。気候はやや内陸的で,寒暖の差が大きい。夏は太平洋高気圧による季節風などの影響で暑く,冬は乾 
  燥した北風(からっ風)が吹く。晴天の日が年間を通して多い地域である。
 ○経営規模…作付面積:700坪(ハウス6棟)
 ○特色…高品質なコチョウランを提供することに最大限の努力をしており,社長以下全員があらゆる場所で整理整頓,清 
  潔を心掛け,出荷・販売の下準備に余念がない。清潔な職場と徹底した品質管理を追求し,栽培技術では全国でもトッ 
  プランナーである。また,仕立て・ラッピング・梱包の独自改良により,同業他社との差別化も図っている。
 
【電化技術の導入・実践概要】
 1.導入実践の経緯(開始年次、取組の動機、経過など)
    2000年以降,原油価格の急激な上昇によりハウス栽培用のボイラー重油価格も高騰し,エネルギーコストの削減が喫
  緊の課題であった。またコチョウランは,軟腐病や褐色細菌病などバクテリア菌による病気や,炭疽病・灰色カビ病な 
  どカビ(糸状菌)による病気が多く,栽培環境の改善も必要としていた。
  そこで,除湿機を随時最新機へ更新して湿度の制御精度を向上してきたほか,ハウス加温の電化を研究し,2010年に 
  は効率の良いヒートポンプを導入。更には天窓開閉装置と組み合わせ,最適な栽培環境を全自動で作り出す統合環境制 
  御システムを導入した。
  その結果,労働力を増やさずに生産量を2倍に増やすことに成功し,単鉢当たりのエネルギーコストを5割削減でき
  た。また栽培環境の改善により,最高品質のコチョウランをより安定して栽培,出荷できるようになった。
 2.・ヒートポンプ:三菱電機製20馬力×4台、16馬力×8台(2010年)
  ・除湿機:6台(随時入替)
  ・統合環境制御盤(2010年)
  ・天窓開閉装置,カーテン開閉装置,循環扇ほか
 3.導入技術の新規性(地域又は品目における新規性など)
    コチョウラン生産においてヒートポンプを同業者に先駆けて導入。これと天窓開閉装置を組み合わせ,温度・日射量 
  を全自動で制御する「統合環境制御盤」を新たに設置。これにより飛躍的に生産管理の質・スピードが向上し,コチョ 
  ウラン栽培の品質や生産量の増加を実現した。  
 4.導入技術の内容(独自開発や改良した内容など)
     ヒートポンプは,定常運転においてはその特性から優れたエネルギー効率を発揮するものの,導入直後の2月頃に 

   は,朝の起ち上げ時の電力デマンドが大きく出ることがあったため、その後の運用について試行錯誤をおこなったと 

   ころ,下記5に示す「統合環境制御盤」を導入したり,瞬発力のあるボイラーとの用途棲み分けによるハイブリッド

   運用をおこなうことで,デマンドの抑制を行うことができた。  
   また,これを機に,日中は除湿機の運転を絞り,夜間に本格運転するような除湿機の運用パターンがコチョウラン栽 

  培には最善であることも分かった。 

 5.導入技術のシステム(複数の技術を組み合わせたシステムの内容など)
     ヒートポンプや天窓開閉装置を複合システムとして組み合わせ,ハウス各所に設置された温度・日射センサーのデー

  タから瞬時にハウス内環境を管理する「統合環境制御システム」を導入。入力された複数のデータをもとに,その瞬間 

  におけるコチョウランの最適栽培環境を算出し,複合システムとして各機器をきめ細かく制御するようにした。
   これによりハウス環境に敏感なコチョウランを,作業員の労力を費やすことなく,常に最適な環境で栽培することが 

  可能となった。 

【電化による経営・技術の改善】
 1.生産性の向上(生産量の増加、生産の安定化等、生産に関する改善)
 ○生産量の増加
      ヒートポンプによるきめ細かな温度調整や,複合システムとして機器制御する統合環境制御システムの活用により,
      生産量を2倍に増やすことができた。
 ○生産の安定化
      ヒートポンプによるきめ細かな温度制御,統合環境制御システムを用いて自動で随時ハウス環境を最適化することに
       より,高品質なコチョウランを非常に安定して栽培できるようになった。
 2.品質の向上(品質の均一化、高付加価値化、鮮度保持等、品質に関する改善)
 ○品質の均一化
  コチョウランは,先端に緑の部分をもつ白めの根が沢山張り,しっかり直立した弾力のある茎が短く伸び,肉厚で張  

  りと光沢の艶がある葉が繁り,大きくてバランスのとれた美しい花が咲くのが理想である。
  ヒートポンプを主体とした統合環境制御システムにより,艶美で優雅なコチョウランを均一に生産できるようになっ  

  た。

  ○高付加価値化
  ヒートポンプや天窓開閉装置を複合的に組み合わせた統合環境制御システムにより,作業員の労働力をコチョウラン  

  の手入れや出荷に費やせるようになった。これにより市場外出荷の販路を拡大し,独自の梱包を開発して,コチョウラ 

   ンをより最適な状態で配送先まで丁寧にお届けできるようになった。  
 ○鮮度保持
  除湿機の最適な運用,ヒートポンプによるきめ細かな温度調整,統合環境制御システムによる温度・日射の自動最適  

  化を実現したことにより,瑞々しく,しっとりとしたエレガントなコチョウランを出荷できるようになった。

3.農作業の効率化(労働時間の短縮、作業の効率、作業環境等、労働作業に関する改善)
 ○労働時間の短縮
  総労働時間はほとんど変わらないが,ヒートポンプや天窓開閉装置を統合環境制御システムによって全自動管理する 

  ことにより,ハウス環境づくりの労働の手間を大幅に省くことができた。
 ○作業環境の改善
  栽培箇所だけでなく作業場においてもヒートポンプによって空調管理するなど,ハウス全体で電化を推し進めること 

  により,酷暑期や厳寒期でも快適な環境の作業が可能となった。
 ○その他
  ハウス全体の電化を進めたことにより栽培・作業場のクリーンな環境が実現した。これにより,作業員の整理整頓の 

  意識,顧客へより品質の良い商品を丁寧にお届けしようとする意識が以前より更に増して,作業員同士の絆も深まっ 

  た。

4.生産コストの改善(燃料費、電気代、農薬、肥料等、生産コストに関する削減)
 ○生産コストの低減
  年間電気料金は約130万円増加したものの,年間燃油料金は50パーセント以上削減できた。これにより年間エネル 

  ギー費は約6%減少した。
 ○その他
  ヒートポンプをはじめ各機器の最適制御を実現したことにより,上品質のコチョウランを安定して出荷・販売できる 

  ようになった。市場での信用も厚くなって,常に高値で取引されている。

5.経営規模の拡大(作付面積の拡大、出荷額の増加など)
○作付面積の拡大
  ヒートポンプ導入による電化,統合環境制御システムの採用により,栽培環境をつくるための労働に余力が生じ,

  その結果、作付面積を2倍に増やすことができた(新たに労働力を増やすことなく経営を2倍に拡大できた)。
○出荷額の増加
  労働力を増やさずに作付を2倍に増やせたことにより,売り上げが2倍となった。
○その他
  ヒートポンプによるきめ細かな温度調整や,天窓開閉装置と組み合わせた統合環境制御システムにより、需要の変動 

  に応じてきめ細かなタイミングで開花・出荷販売ができるようになった。

6.環境保全型農業の実践
○農薬、化学肥料の使用量の低減
  年間を通してヒートポンプを運転し、ハウス内をクローズ状態に保っているため、ダニの混入を防ぐことができたこ 

  とから、ダニ剤を使用しなくなった。
○消費エネルギーの削減
  年間電気使用量は約60%増加したものの,年間燃油使用量は50%以上を削減。そのため,年間一次エネルギー使

  用量は約11%減少した。
○温室効果ガスの排出抑制

   年間CO2排出量は約19%減少した。 

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【都道府県名】奈良県 

【作物名】小ギク

【表彰技術】省電力型光源を用いた電照栽培による小ギクの盆需要期安定出荷

【概 要】

 ○立地等…平群町は、奈良県北西部で大阪府との県境に位置し、西の信貴・生駒山地と東の矢田丘陵の間は竜田川が北か

                 ら南へ流れる盆地で、面積は23.90平方キロメートル。
            地質は信貴山頂部が、安山岩質、その他の山地は、斑状花こう岩が大部分で谷山地に近づくにつれて古期洪積

                 層となっている。雨量は1,316ミリメートル、平均気温は14.4度(奈良地方気象台 平年値)、奈良盆地の特色を示す 

      「内陸性気候」に属し、花卉や野菜・果樹の栽培が盛んで、特に小ギクの生産量は全国2位で夏秋期の生産量で   

      は全国1位である。  

 ○経営規模…作付面積:84ha

 ○特色…自然開花期の異なる多品種栽培による長期間出荷
    信貴、生駒山系の東斜面の標高差を利用した同一品種での作期拡大
    省電力型光源を用いた電照栽培による8月盆需要期の安定出荷
        無加温施設と電照を利用した年2作栽培による、出荷端境期(5月と11月~12月)の生産強化
    低コスト簡易型ネットハウスによる農薬使用量の低減
    低温貯留庫の導入による品質の向上(切り花の鮮度保持)。

【電化技術の導入・実践概要】

 1.導入実践の経緯(開始年次、取組の動機、経過など)
     近年、気候変動により小ギクの開花期が不安定となり、とくに8月の盆需要期に咲く夏秋ギクで大きな課題となってい 

  た。
  そこで、平成18年から、8月の盆需要期向け小ギク栽培において、電照栽培技術導入の取り組みを開始した。      
      さらに、平成21年頃から奈良県の協力を受けて、白熱電球に代わる省電力型光源として、各種LED電球の試用、

  検討を始めた。
  その結果、有望な1製品が見いだされたため、平成25年からは、補助事業を活用して、消費電力が従来の白熱球の6分 

  の1に低減可能な省電力型光源である農業用赤色LED電球について現地実証試験を開始した。

   数年かけて白熱球と比較し、キクの花芽分化抑制効果に差がないことを検証し、平成28年からは本格的導入を開始し 

  た。 

 2.主な電化設備

  ○電照栽培(H28年作の使用灯数)
  ・白熱球(H18年~) 60W×約1,230灯 (108灯/10a)
  ・農業用LED電球(H21年頃~) 9W×約390灯
 

  ○低温貯留庫(H28年~)
  ・冷凍機  5.5kW×1台、15kW×1台
  ・直管LED  9.9W×144灯  
 ○選花機(H8年頃~)
  ・菊重量選別機  280W×約100台

 3.導入技術の新規性
     キクの電照栽培技術は日長制御による開花調整が容易な秋咲きの輪ギクやスプレーギクでは一般的に行われている 

   が、日長制御のみでは効果の不安定な夏秋ギクでの導入事例は少ない。そこで、奈良県や奈良県農業協同組合の支援 

   を受けて夏秋ギクの中でも日長制御に適応しやすい品種の検索を行った。その結果、気候変動の影響を受けながら 

   も、これまでのような開花時期の不安定さを最小限にとどめ、より計画的な出荷をすることが可能となった。 

【電化による経営・技術の改善】

   お盆はお彼岸、正月と並んで切花ギクの需要が伸びる時期となるため、この時期を狙って栽培計画をたてるが、

  近年、気候変動により開花のずれが大きく栽培計画通りとならない。  
  そこで、奈良県とともに7月~8月咲き小ギクを用いて、4月中下旬に定植し、摘心~6月第4半旬まで深夜5時間の

  暗期中断電照を行うことで花芽分化および発達を抑制し、8月盆需要期に開花させるための実証試験を実施した。

   その後も、各生産者が積極的に電照栽培に適した新品種の選定にチャレンジしながら電照栽培技術を確立してきた。
  従来、電照栽培の光源には60Wの白熱球を用いていたが、平成21年頃からは省エネ性に優れた9Wの農業用LED電球 

  も一部採用している。
  設置方法は、白熱球、農業用LED電球ともに同じで、1うねおきにケーブルを通して、2.8m間隔で高さ2mに設置す 

  る。10a当たりの電球数は108灯である。

 

 1.生産性の向上(生産量の増加、生産の安定化等、生産に関する改善)

   LED電球を活用した8月盆需要期の電照栽培技術と出荷端境期の年2作栽培により、生産量の増加ならびに安定的な出 

  荷が可能とった。
  また、市場の販売形態の変化から、より早い出荷情報が求められるようになってきたが、低温貯留庫の導入で売立て 

  日の前々日から荷受し、低温で保管することにより、従来どおりの品質を維持し、同時に早くから集出荷場に荷物を集 

  めることで、より早く出荷情報を市場に提供できる体制が構築できた。これにより市場との契約販売の獲得につながり 

  経営の安定化も図れている。 

 2.品質の向上(品質の均一化、高付加価値化、鮮度保持等、品質に関する改善)
  平成28年4月より運用を開始している低温貯留庫は、10℃~15℃で管理することで冷やしすぎを防ぐとともに、

  出庫時間に向けて段階的に室温を上昇させる馴化機能により、商品の品質劣化と出庫後のヒートショックも防いでい 

  る。悪天候の場合は、湿度の高い外気を導入すると切り花が結露してしまうので、ヒータで室温を上昇させ結露の防止 

  も図っている。  

 3.農作業の効率化(労働時間の短縮、作業の効率、作業環境等、労働作業に関する改善)
  LED電球を活用した電照栽培技術により、一つの品種を数多く栽培することが可能となり、親株の管理作業や出荷時 

  の選花、箱詰め作業が効率化された。また、電照栽培により開花斉一性も向上し、収穫時間も短縮され、作業の効率化 

  が図れている。

 4.生産コストの改善(燃料費、電気代、農薬、肥料等、生産コストに関する削減)
  LED電球は、従来の白熱球に比べ初期導入コストが約10倍と高価ではあるが、消費電力は白熱球の約6分の1に低減さ 

  れ、耐久性も約40倍と優れていることから、導入に伴う差額は2~3年程度で回収できている。

 5.経営規模の拡大(作付面積の拡大、出荷額の増加など)
  従来の自然開花任せでは需要期に出荷時期が合わないケースもあり無駄が生じていたが、電照栽培技術により、安定 

  出荷が可能となり出荷額の増加につながっている。また計画出荷が可能になったことにより、契約販売の獲得につなが 

  り、経営の安定化も図れた。
  さらに選花機をはじめ、マルチャー、ブレンドキャスター等をいちはやく導入してきたことにより経営規模の拡大が 

  図れた。 

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【都道府県名】宮崎県 

【作物名】マンゴー

【表彰技術】ヒートポンプによるマンゴーの収穫作業の効率化と収益改善

【概 要】 

○立地…宮崎県では冬期の日照時間は日本海側の2倍あり、特に12月から2月にかけての日照率が高く果樹のハウス栽培に非  

    常に適した土地柄である。また、当地は宮崎市内中心部から南西へ車で約15分程度の利便性の高いところに位置し   

    ている。

○経営規模…作付面積:55 a

○特色…5棟のハウスの冷房(夜冷)開始時期をずらすことで花芽がつく時期を調整して、出荷の期間を長くしている。
       冷暖の効率を上げるため、ハウスを三層にし、さらに容積を減らしている。
 

【電化技術の導入・実践概要】

1.平成19年以降、重油価格が高騰(平成20年に100円/L超)し、燃料費の削減対策としてヒートポンプ式加温機を導入し

    たのがきっかけ。ヒートポンプを導入するに当たっては先行していた他県のコチョウラン農家を見学するなどして事前にノウハウを習得した。その後いくつかの課題もあったが、試行錯誤の上、効率的な運転が可能となった。

2.マンゴーは秋季に夜温を15℃以下に下げる(模擬的に“秋”をつくる)ことで確実に花芽がつく。秋季にヒートポンプの冷房機能を使うことで着花の時期を調整することができるようになった。

3.当初、10aあたりヒートポンプ2台(10馬力(28kW)/台)設置がメーカー推奨であったが、他産地や他品目の視察等を重ね、現在の栽培地でのマンゴー栽培には10aあたり3台(計30馬力(84kW))が適切であるという結論にたどり着いた。

4.冷・暖とも、運転効率を上げるため、ハウス内を三層とし、より容積を小さくすべく、水平カーテンを整備。変温装置(4つの時間帯別に温度設定する)採用による運転制御。また、より短時間で低温状態に導けるよう夜冷前の自動散水を行い、冷房時間の短縮化を図った。

 

【電化による経営・技術の改善】

1.生産性の向上(生産量の増加、生産の安定化等、生産に関する改善)
 夜冷を開始するタイミングをずらすことで収穫時期を調節できるため、5月前後に集中していた収穫を2月~10月まで分散させることができるようになった。これによって、
① 以前は、マンゴーの品質を保つために必要な摘果の作業が追いつかないこともあったが、現在は、作付面積55 aを二人 

  でも適切に摘果できるようになり果実の品質(不良発生率50%程度低減)が安定した。
② 収穫期間を広げることで安定した収入を得られるようになった。また、出荷量が少なく、高値で取引される時期に市場

  へ出荷できるようになったため収益拡大につながった。

2.品質の向上(品質の均一化、高付加価値化、鮮度保持等、品質に関する改善)
 近年、気候変動によって秋季に夜間温度が低下せずマンゴーの着花が不安定となっている(着花しなければその年は収穫を見込めない)。ヒートポンプの冷房機能で秋季に夜冷することで着花が安定し収穫量を確実に確保できる。また、ヒートポンプのやわらかい風と循環ファンで、ハウス内の環境が良くなり果実が病害化するケースが減少した。従来の燃焼式加温機の温度の大きな波(変動)が少なくなったことも影響したと考えられる。

3.農作業の効率化(労働時間の短縮、作業の効率、作業環境等、労働作業に関する改善)
 マンゴー栽培は、生長の過程において剪定、摘果、玉の吊上げなどポイントとなる作業が1年のうち5回程度巡って来るが、ポイントの作業が間に合わず生長が進行してしまうと優良なマンゴーの収穫は期待できなくなる。よって、手遅れになる前に各ポイントの作業を間に合わせる必要があるが、同じ環境のマンゴーにおいてその作業ポイントのタイミングは一斉にやってくるため、人手が足りないことがあった。
 当園ではマンゴーを多棟で栽培しており、棟ごとのヒートポンプによる夜冷のタイミングをずらすなどして着花の時期を調整し、各棟のマンゴーの作業ポイントを分散させ二人だけでもポイントの作業が可能(平均15a/1人が27a/1人に上がった)となった。

4.生産コストの改善(燃料費、電気代、農薬、肥料等、生産コストに関する削減)
・消費エネルギーの削減
 ヒートポンプの導入により、エネルギー換算で約28%の削減 
・温室効果ガスの排出抑制
 ヒートポンプの導入により、CO2排出量は約41%の削減
・エネルギーコスト

  ヒートポンプの導入により、約12%の削減 

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