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ヒートポンプ活用事例(生産局長賞)

 

生産局長賞受賞事例

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     また、生産者様への直接のお問い合わせは、ご遠慮ください。

     ご紹介するヒートポンプの数値は定格暖房能力です。

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【都道府県名】福島県

【作物名】トマト(桃太郎、カンパリ、カナバロ、トレモロなど15品種)

【表彰技術】新開発した複合環境制御システムでヒートポンプの有効活用による収量最大化と品質向上をを追求したトマト栽培への  

      取り組み

【概 要】
○立地…いわき地区は年間日照時間が多く施設園芸に適している地域で、降雪も少なく冬場の晴天率の高さなどの好条件がそろっている。
○経営規模と生産量…第1温室1.0ha、第2温室0.5haの計1.5haの太陽光利用型温室。年間約300t(大玉トマト、
  中玉トマト、ミニトマト合計)を生産。
○特色…養液栽培およびハイワイヤー方式による長期多段取り、7月定植、10月~翌年6月までの9か月間収穫。選果設備を併設した栽培から出荷までの一貫生産方式。直売所も併設し、直売も実施。
 
【電化技術の導入・実践概要】
1. 施設園芸用ヒートポンプ(28.0kW)14台を導入したトマトハウス1.0ha(第1ハウス)を建設。その後、独自の複合環境制御システムとともに、施設園芸用ヒートポンプ(21.2kW)8台を導入したトマトハウス0.5ha(第2ハウス)を建設。2棟合計1.5haのトマトハウスで、22台のヒートポンプを使用し、省エネ・省コストおよびトマトの収量最大化と品質向上を追求している。
2.IT企業や愛媛大学と共同で開発した複合環境制御システム(「ミノリタス」として商品化)は、日射量、CO2濃度や温度・湿度などの環境情報のもとに、ヒートポンプや油暖房機、CO2発生装置、換気装置、カーテン、給液などの環境設備を総合的に自動制御し、年間の温度、湿度の変動が大きい日本の栽培環境に適応した最適環境の構築を可能としている。
3.青色LEDを照射し光合成反応の活性度合をCCDカメラで撮影・計測する生育診断ロボットを採用し、早期の病害対応や栽培環境の改善を行っている。
 
【電化による経営・技術の改善】
1.第2ハウスにて夜間冷房を実施し、同時期に定植した第1ハウス(慣行区)と比較した結果、
 ①夏場(7月)の定植時期から夜間冷房することにより9~11月の3か月間で収量は約4割増えた。
 ②夜間冷房区では作物の病害の発生はほとんどなく、病害による苗の入れ替えは8本/1haで、慣行区の277本から著しく減少。苗の購入コスト、農薬の費用の削減が図れた。
 ③夜間冷房区のAランク品率は9~12月の3か月で73%、慣行区(同65%)より品質向上が図れた。
 ④トマトの単価が高い9月、10月の収量アップにつながる夜間冷房は収益増が図れる。
2.第2ハウスを増設したことで冬場のピーク電力が大幅に増加し電気の基本料金が増大するため、デマンド監視制御装置を設置しデマンドコントロールと複合環境制御システムを連携させて電気の使用量を抑制。約2割の動力光熱費を削減できた。今後もデマンド監視制御を導入し、複合環境システムと連携させることで、デマンド50kW削減と電力使用量の削減で電気料金年間約100万円の削減を目指す。デマンド削減で下がった基本料金を夏場の夜間冷房の電力へ転用、有効利用する。
3.養液供給リサイクルシステムの採用により、作物に与えた養液の余剰分(排液)を回収し殺菌、リサイクルしているため、かけ流しの栽培方法に比べ約40%化学肥料使用量を削減している。
4.複合環境制御システムにより夜間の室内平均気温を保ったまま、ヒートポンプ加温機を連続運転することで、重油ボイラー加温機使用を20%削減。
 
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【都道府県名】埼玉県

【作物名】キンギョソウ

【表彰技術】先進的電化によるキンギョソウの高品質化・出荷の安定化

【概 要】

○立地…川越市は埼玉県南西部に位置し都心から30km 圏に属している。1年を通じて比較的穏やかな気候はではあるが、夏季は高温多湿、冬季は低温乾燥が継続する時期がある。

○経営規模と生産量…作付面積:1,200 坪(ハウス4棟。内、ヒートポンプ導入2棟)

 生産量:約265,000 /年。

○特色…空気を含んだオゾン水の土中点滴かん水を導入。毛細根の発達が良くなることで、二番花の収穫を通常より1014 日程度早めている。また、早くから除湿機、オゾン発生機、ヒートポンプを導入し、キンギョソウの出荷が減少する12月にも高品質のキンギョソウを安定的且つ経済的に生産している。埼玉県が実施したLEDによる補光試験にも積極的に協力するなど、新しい技術を積極的に導入。

【電化技術の導入・実践概要】

1.キンギョソウは花粉に灰色カビ病が発生しやすく、それによる出荷先での落花を防止するため、平成22年、いち早く除湿機を導入。灰色カビ病の発生が飛躍的に減少し、出荷先での落下防止に成功した。その後、平成26年にヒートポンプを導入し、キンギョソウの特性に合わせたきめ細かな温度調整を行うことにより出荷量の調整が可能となり、出荷が減少する12月の出荷が増加した。

2.主な電化設備は除湿機(0.26kW4台、ヒートポンプ(18.0kW6台、オゾン発生機1台、  

 天窓開閉装置38 台、カーテン開閉装置8台、循環扇18 台。

3. 一部のハウスで天窓及びカーテン開閉、ボイラー発停を一括制御するシステムを導入している。

【電化による経営・技術の改善】

1.除湿機による除湿により灰色カビ病の発生が大幅に防止され、また、ヒートポンプによる温度制御により出荷回数の増加、出荷時期の延長が可能となり、それまで約26 万本/年の生産量が約26 5千本に増加できた。

2.一般的にキンギョソウの出荷が減少する12月まで品質が均一化された茎がしっかりした元気なキンギョソウを出荷できるようになり、市場での信用も厚くなり、1本当たりの出荷額は平均よりも高額で取引され、売上は約20%増加した。

3.平成27 年からはヒートポンプを使用して9月に夜冷を行い、更に茎がしっかりした元気なキンギョソウの生産を行っている。

4.ヒートポンプの導入により、年間電気使用量は約18MWh から34MWh に増加したものの、年間燃油使用量は23 kl から16 kl に減少したため、年間エネルギー料金は約241 万円から約177万円に、年間一次エネルギー使用量は907 GJ から635 GJ に、年間二酸化炭素排出量は17,154t-CO2 から12,004t-CO2 に減少した。 

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【都道府県名】佐賀県 

【作物名】キュウリ(ゆうみ637、極光607

【表彰技術】ヒートポンプと環境測定装置導入による施設キュウリ栽培の省エネ・高収量生産

【概 要】 

○立地…伊万里地区は、佐賀県の北西部に位置し、温暖な気候に恵まれているが、冬期間は日本海型気候に属し日照が少なく、降水量が多い。内陸部では早春期に晩霜の被害が発生する頻度が高い。

○経営規模と生産量…作付面積:加温ハウス10a、無加温ハウス10a、生産量:58t/年
○特色…作付け体系は、加温ハウスでは抑制栽培の栽培期間が7月下旬~12月上旬、半促成栽培が12月下旬~6月中旬、無加温ハウスでは早熟栽培が3月下旬~7月中旬、抑制栽培が8月上旬~12月上旬の周年出荷体系である。有機物のイナワラや米ぬかの施用、太陽熱消毒などによる土づくりや天敵ダニの利用によるアザミウマ類、コナジラミ類の害虫防除を実施し減農薬栽培に取り組んでいる。

 

【電化技術の導入・実践概要】

1. 平成26年、加温ハウスにヒートポンプ、炭酸ガス発生機、環境測定装置を導入。環境測定装置によるハウス内環境測定とキュウリの生育診断をもとに、光合成を促進させる環境を整えるため、炭酸ガス施用とヒートポンプによる日中加温および自動換気装置によるきめ細かな温度管理を行うことで、省エネと生育、収量の向上を図っている。

2.環境測定装置により 外気温に応じて開閉度を調節する自動換気装置、炭酸ガス濃度・気温・湿度・飽差・期間平均気温等を測定し、データの蓄積とともに値をモニターで確認しながら管理を行う「見える化」に取り組み、生育に応じた栽培管理を実践している。

3.主な電化設備は、ヒートポンプ(14kW・ダクト型)2台、重油加温機(能力87kW)2台、循環扇5台、自動カーテン装置1台、炭酸ガス発生機1台、環境測定装置。

【電化による経営・技術の改善】 

1.環境測定装置、炭酸ガス発生機、ヒートポンプ、自動換気装置の組み合わせによる炭酸ガス濃度管理と温度管理の徹底により平成26年度の加温ハウスの収量は32.7t/10a(前年比107%、県内平均収量は17t/10a)と高い収量が確保できた。

2.ヒートポンプ導入ハウスでは、10a当たりのA重油使用量を74%(9.8KL→2.5KL)削減することができた。一方で、使用電力量は3,880kwh(2,866kwh→6,746kwh)増加したが、暖房コストとしては導入前の約半分、約55万円となった。炭酸ガス排出量も、差し引きで、17.5t削減できた。

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